Interstage Application Server チューニングガイド
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第6章 Workload Organizerとの連携> 6.4 マルチプロセッサ環境でのCORBAサービスのチューニング

6.4.1 使用効果の確認

 CORBAサービスではデーモンプロセスとサーバプロセスとで情報を共有するために排他制御を行っています。CPUの数を増加させると、排他制御を行う際に、CPU間での同期処理が行なわれ消費するCPU資源が増加する場合があります。このため、CPUの数を増やしても排他制御に使用されるOS負荷が増加してしまい、サーバプロセスがリクエストを処理するためのCPU資源が十分に割り当てられず、処理能力が向上しない場合があります。

 Workload Organizerと連携することにより、デーモンプロセスが排他制御で使用するCPU資源量は減少させることが可能となります。サーバプロセスがリクエストを処理するためのCPU資源をデーモンプロセスの排他制御のOS負荷が消費していた場合は、Workload Organizerと連携するにより、サーバプロセスがリクエストを処理するのに利用できるCPU資源量が増加するため、システム全体としての処理能力の向上が期待できます。

 但し、Workload Organizerと連携すると、デーモンプロセスが利用するCPUの数は1つに限定され、デーモンプロセスがリクエストをサーバプロセスにディスパッチできる性能は1つのCPUで処理可能な性能となります。そのため、単位時間あたりのクライアントからのリクエスト数が1つのCPUでディスパッチできる限界値よりも多く、デーモンプロセスの排他処理がCPU資源を消費してもサーバプロセスがリクエストを処理するだけのCPU資源に余裕がある場合は、Workload Organizerと連携しない場合の方がシステム全体としての処理能力が高くなります。

 Workload Organizerと連携することにより性能が向上するかの検証は、OSが提供するCPUバインド機能を使用することにより事前に実施することが可能です。

検証方法

 OSが提供するpbind(1M)コマンドを利用することにより、デーモンプロセスが一つのCPUを利用する場合の性能検証を行うことが可能です。以下の手順でCORBAサービスのデーモンプロセスに対してCPUバインドを行います。

  1. デーモンプロセスのプロセスIDの取得
    odlistprocコマンドを実行します。“OD_start”のプロセスIDがデーモンプロセスのプロセスIDとなります。odlistprocコマンドの詳細については“リファレンスマニュアル(コマンド編)”を参照してください。
  2. デーモンプロセスに対するCPUバインド
    デーモンプロセスのプロセスIDに対してpbindコマンドを実行して、CPUバインドを行います。pbindコマンドの詳細についてはオンラインマニュアルを参照してください。
  3. 性能検証
    任意の方法で性能検証を実施してください。
  4. デーモンプロセスに対するCPUバインドの解除
    デーモンプロセスのプロセスIDに対してpbindコマンドを実行して、CPUバインドを解除します。また、CORBAサービスを再起動するとCPUバインドは解除されます。


 OSが提供するCPUバインド機能は実際の運用では使用しないでください。バインドしたCPUが停止した場合に、Interstageがハングアップします。


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