PRIMECLUSTER Wizard for NAS 導入運用手引書 4.1 - Solaris(TM) Operating Environment -
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付録B NASクラスタ自動takeover機能のチューニング方法

PRIMECLUSTER Wizard for NASでは、pingコマンドによりNAS装置へアクセス可能かどうか監視しています。そして、pingの応答がない(アクセス不能)場合に自動takeover処理を行います。以下では、NASクラスタ自動takeover実行開始時間、および環境設定Wizardで設定可能なpingコマンドに対するパラメタのチューニング方法について説明します。

■自動takeover実行開始時間のチューニング

自動takeover処理の実行開始時間は、クラスタノード−HUB間監視とクラスタノード−NAS装置間監視を考慮する必要があります。

  1. クラスタノード-HUB間ではGLSリソースが監視を行っています。GLS監視により、NIC切替が完了するまでは自動takeoverが実行しないように設定しなければいけません。
    つまり、
    GLS監視開始時間(a) + NIC切替時間(b) < 自動takeover実行開始時間(X)
    を満たす必要があります。
    よって、次式のようになります。

    (a) + (b) = 10 (秒)+ 約30 or 約60(秒) < X(秒)

    ※NIC切替の所要時間

    HUB-HUB監視なしの場合:約30秒
    HUB-HUB監視ありの場合:約60秒

    GLS監視については、「PRIMECLUSTER Global Link Services 導入運用手引書(伝送路二重化機能編)」を参照してください。

  2. クラスタノード-NAS装置間を監視しているRemoteFileSystems (RFS)リソースは、障害を検知すると300秒(推奨値)経過後にリソース異常となります。
    よって、Wizard for NASの自動takeover実行開始までの時間とtakeoverに要する時間の和が、300秒以内である必要があります。
    つまり、次式のようになります。

    自動takeoverの実行開始時間(X) ≦
    RemoteFileSystemsリソースタイムアウト時間(300秒) − takeoverに要する時間

1.と2.より、以下の条件式(1)が考えられます。(X = 自動takeover実行開始時間)

約40秒 or 約70秒 < X < 300(秒) − takeoverに要する時間 ・・・・・・(1)

次に、自動takeover処理の実行開始までの流れを以下の図に示します。

図より、(1)式を満たす自動takeover処理実行開始時間は(m)の範囲となります。

■環境設定Wizardで設定可能なpingコマンドのパラメタのチューニング

以上のことから、ping処理は(m)の範囲内で完了することが必要です。
デフォルト値は以下のようになります。

A. NAS装置へのpingコマンドの発行回数= 10回
B. NAS装置へのpingコマンドのタイムアウト時間= 5秒
C. NAS装置へのpingコマンドの実行間隔= 5秒

Netappリソースで異常検知してから、自動takeoverを実行するまでに要するping処理時間は以下の式により算出できます。

( B. + C. ) × ( A. - 1 ) + B. = (5+5)×9 + 5 = 95秒

よって、デフォルト値での自動takeover実行開始時間はWizard for NASの監視開始から95秒後となります。

takeoverに要する時間は環境により変化します。


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