Interstage Application Server アプリケーション作成ガイド (CORBAサービス編)
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第5章 アプリケーションの開発(C++言語)> 5.5 データ型に対するマッピング

5.5.13 any型、sequence型のリリースフラグ

 可変長データは、データをクライアントへ返却後、スケルトン中で自動的に解放します。
 そのため、解放したくないデータについては、そのデータをどこか別の領域に複写しておく必要があります。文字列(string)を例に説明します。

 しかし、any、sequenceのような複雑な型の場合には、コピーする処理が複雑なため、リリースフラを設定し、解放する/しないを設定できるようになっています。
 リリースフラグの設定方法について以下に示します。

変数型

設定方法

any

コンストラクタまたはreplaceメソッドを使用。デフォルトはCORBA_FALSE (注)

例)
CORBA::Any_ptr p = new CORBA::Any(_typecode, value, CORBA_TRUE);
CORBA::Any_ptr  p = new CORBA::Any;
p->replace( _typecode, value, CORBA_TRUE );

sequence

コンストラクタを使用。デフォルトはCORBA_FALSE (注)

例)
struct sample {
    string  para1;
    long    para2;
};
typedef sequence<sample> data;
−>
sample_var *p = sample::allocbuf(2);
data *q = new data( 2, 2, p, CORBA_TRUE );
 (2,2はそれぞれmaximum, length)

注) CORBA_TRUEのとき解放されます。CORBA_FALSEのときは解放されません。


 any型が基本データ型(CORBA::Octet, CORBA::Char, CORBA::Long等)のデータ領域を保持している場合は、リリースフラグの設定にかかわらず、データ領域の解放を行いません。以下の例に示すように、データ領域が必要なくなった時点で、明示的に開放してください。

  CORBA::Long   *ptr = new CORBA::Long[10]; // データ領域の獲得
  for( int i = 0;  i < 10; i++ ) 
           ptr[i] = i;                      // 値の設定

  CORBA::Any    *p = new CORBA::Any(_tc_long, ptr, CORBA_FALSE); 
                                            // リリースフラグをCORBA_FALSEに設定

  // 領域の解放
  delete  p;                                // any型の解放
  delete  ptr;                              // データ領域の解放

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