Interstage Application Server アプリケーション作成ガイド (CORBAサービス編)
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第4章 アプリケーションの開発(C言語)> 4.7 データ型に対するマッピング

4.7.3 ワイド文字列型

(1)IDLマッピング

 IDL言語で文字列型wstringを指定した場合、C言語ではCORBA_wstringにマッピングされます。CORBA_wstringは以下のように定義されています。

  typedef CORBA_wchar   *CORBA_wstring; 

 以下のIDL定義例をもとに説明します。

IDL言語

  module ODsample{
      interface   wstringtest{
          wstring op1(in wstring str1, out wstring str2, inout wstring str3); 
      };
  };

C言語

  CORBA_wstring
  ODsample_wstringtest_op1(
      ODsample_wstringtest obj;  /* オブジェクトリファレンス */
      CORBA_wstring str1,        /* inパラメタ */
      CORBA_wstring *str2,       /* outパラメタ */
      CORBA_wstring *str3,       /* inoutパラメタ */
      CORBA_Environment *env )   /* 例外情報 */

(2)クライアントアプリケーションで扱うパラメタ

 クライアントアプリケーションのパラメタの扱いについて、以下に示します。

パラメタ

サーバへ渡すパラメタ

サーバから渡されたパラメタ

in

CORBA_wstring_alloc()で領域を獲得します。

inout

(inパラメタと同じ)

領域はスタブで自動的に獲得されます。

out
復帰

(inoutパラメタと同じ)

注意事項

 クライアントおよびスタブで獲得した領域は、不要になった時点でCORBA_free()で解放する必要があります。

 以下にクライアントアプリケーションでの処理例を示します。

  CORBA_wstring          str1, str2, str3, ret; 
  CORBA_Environment      env; 

  /* inパラメタ */
  str1 = CORBA_wstring_alloc(2);  /* 領域獲得 */
  str1[0] = ...;                  /* パラメタ設定(“(4)文字列の設定方法”参照) */
   :

  /* inoutパラメタ */
  str3 = CORBA_wstring_alloc(5);  /* 領域獲得 */
  str3[0] = ...;                  /* パラメタ設定(“(4)文字列の設定方法”参照) */
   :

  /* サーバ呼出し */
  ret = ODsample_wstringtest_op1(obj, str1, &str2, &str3, &env ); 

  /* 領域解放 */
  CORBA_free( str1 );             /* inパラメタ */
  CORBA_free( str2 );             /* outパラメタ */
  CORBA_free( str3 );             /* inoutパラメタ */
  CORBA_free( ret );              /* 復帰パラメタ */

(3)サーバアプリケーションで扱うパラメタ

 サーバアプリケーションのパラメタの扱いについて、以下に示します。

パラメタ

クライアントから渡されたパラメタ

クライアントへ渡すパラメタ

in

文字列域はスケルトンで自動的に獲得/解放されます。

inout

文字列域はスケルトンで自動的に獲得されます。

渡されたパラメタより短い文字列を返す場合:
 渡された文字列域に文字列を設定します。

渡されたパラメタより長い文字列を返す場合:
 渡された文字列域をCORBA_free()で一度解放し、CORBA_wstring_alloc()で再獲得します。

文字列域はスケルトンで自動的に解放されます。

out
復帰

文字列域をCORBA_wstring_alloc()で獲得します。文字列域はスケルトンで自動的に解放されます。

 以下にサーバアプリケーションでの処理例を示します。

  CORBA_wstring
  ODsample_wstringtest_op1(
      ODsample_stringtest  obj;   /* オブジェクトリファレンス */
      CORBA_wstring     wstr1,    /* inパラメタ */
      CORBA_wstring     *wstr2,   /* outパラメタ */
      CORBA_wstring     *wstr3,   /* inoutパラメタ */
      CORBA_Environment *env )    /* 例外情報 */
  {
      CORBA_wstring    wstr; 

  /* outパラメタ */
      *wstr2 = CORBA_wstring_alloc(3);   /* 領域獲得 */
      (*wstr2)[0] = ...;                 /* パラメタ設定:(4)参照 */
        :

  /* inoutパラメタ */
      CORBA_free( *wstr3 );              /* 領域解放 */
      *wstr3 = CORBA_wstring_alloc(5);   /* 領域再獲得 */
      (*wstr3)[0] = ...;                 /* パラメタ設定:(4)参照 */
        :

  /* 復帰パラメタ */
      wstr = CORBA_wstring_alloc(4);     /* 領域獲得 */
      wstr[0] = ...;                     /* パラメタ設定:(4)参照 */
        :
      return( str ); 
  }

(4)文字列の設定方法

 ワイド文字列型への文字列の設定方法を以下に示します(変数wstrはCORBA_wchar*型です)。

EUCまたはShiftJISを使用する場合

 文字を1文字ずつ設定します(EUCの場合)。

  wstr[0] = 0xc6fc;  /*  "日"    */
  wstr[1] = 0xcbdc;  /*  "本"    */
  wstr[2] = 0xb8ec;  /*  "語"    */
  wstr[3] = 0x0000;  /*  終端子  */

Windows(R)でUNICODEを使用する場合

 ""で囲んだ文字列にL修飾子を付けるとUNICODEになります。

  wstr = L"日本語";

UNIXでUNICODEを使用する場合

 UNICODEの値を1文字ずつ直接数値で設定します。

  wstr[0] = 0x65e5;  /*  "日"    */
  wstr[1] = 0x672c;  /*  "本"    */
  wstr[2] = 0x8a9e;  /*  "語"    */
  wstr[3] = 0x0000;  /*  終端子  */


ワイド文字列型をコンソール等に出力する場合、出力処理は各OSに依存するため、そのままでは正しい文字が出力できない場合があります。出力の方法に関しては、各OSのマニュアルを参照してください。


 Solaris OEシステム、Linuxシステムでは、L"..."の形式の文字列を処理することはできません。


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