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富士通フォーラム2008 セミナーレポート SOAの実践!事例から学ぶ効果的な導入パターン - 業務プロセスの見える化と段階的なシステム改善に向けて - 富士通 株式会社 ソフトウェア事業本部 本部長代理 今田和雄

IT業界で大きなトレンドとなっているSOA(Service Oriented Architecture)。5月15日、5月16日の2日間、東京国際フォーラムにおいて開催されたイベント「富士通フォーラム2008」で講演した、富士通 ソフトウェア事業本部 本部長代理 今田 和雄は、富士通の考えるSOAの実践的なアプローチと効果的な導入パターン4つを紹介した。

[2008年6月6日掲載]

現在、企業を取り巻く環境は大きく変化しており、継続的に企業価値を向上させていくために、2つの視点から変化に対応していく必要がある。

一つはビジネスの変革である。企業の価値をより高めるために、単純なITインフラの整備より、商品力の強化や現場と経営の直結、さらには投資リターン(ROI)の最大化というところに意識がシフトしてきている。富士通のユーザー会が年1回調査・発行する白書でも、情報化投資の目的が「ITインフラの効率化視点」よりも「経営視点でのIT活用」の部分で増えており、その傾向が裏付けられている。

もう一つは社会的責任を果たすことの重要性である。内部統制と企業監査の強化を義務付けた日本版SOX法への対応をはじめ、京都議定書などの環境保護/規制、そして情報セキュリティや事業継続への迅速化かつ確実な対応が、新たなシステム要件となってきている。

【お客様を取り巻く環境】

また、M&A(企業買収・企業合併)などを背景に、ITの技術トレンドも部分最適から全体最適へと大きくシフトしている。いままでは、人、プロセス、情報、IT資産それぞれにおいてWebサービスやBI、仮想化といったテクノロジの適用でそれぞれの分野を改善する部分最適を目指してきた。しかし今後は、業務プロセス全体の流れを見える化しスピードアップするために、SOA/XML技術を活用して、全体最適へと向かう必要がある。「当社のお客様においても業務の統合・全体最適化のニーズが増加傾向にあります。前年比1.5倍で伸びています」と、今田もこの流れを実感している。

今田は、これら企業を取り巻く環境について解説し、全体最適へのアプローチとして、SOA/XML技術を適用した4つの実践事例を紹介した。

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事例1:人手による業務を効率化[Web2.0]

「Interstage Interaction Manager」により複数業務システムの操作画面を統合し、ユーザー利便性を大幅に向上させた事例である。

流通業A社はメインフレームとクライアント/サーバ型システムによって、商品管理、入荷管理、在庫管理、受注管理、顧客管理などのシステムを構築していた。受注業務は受注管理システムに加えて、在庫管理システムによる在庫の確認も必要となる。足りなければ発注も必要だ。従来はこれら業務に応じて、システムの操作画面を切り替えて処理していた。これでは効率が悪いし、ミスも多かった。

しかしながら、現在稼働しているメインフレームの資産を全部捨てて一から作るというのは非常に大変だ。そこでA社は、既存システムに手を加えることなく、ユーザーの利用する複数のシステムを、フロント側で統合することにした。メインフレームからはデータベース連携機能、既存オープンサーバからはJDBCを介して、複数業務を一画面に統合している。

バックエンドの既存システムのうち5000本を超えるバッチ資産はそのまま流用。オンライン系については、Web2.0を実現しているInterstage Interaction Managerを適用し、さらにフレームワークを活用することで非常に簡単に画面統合できた。メインフレームやクライアント/サーバ型システムからWebシステムへ移行すると、操作性の低下が避けられない。今回はAjax技術を活用することで操作性を維持しながら入力ミスの軽減とリアルタイム性向上が図れ、効率と操作性の両方を大幅に向上させた。

【Web2.0技術(Ajax)を活用し、受発注業務を大幅に効率化した事例】

事例2:既存システムの有効活用と再構築[SOAリポジトリ/ESB]

「CentraSite」(セントラサイト)と「Interstage Service Integrator」により、業務のリアルタイム化を実現した例である。

PCサプライ販売B社では、オープンな周辺システム(Web販売システム、調達システム、在庫システム)とレガシーシステム(メインフレームの販売管理システム、オフコンの会計システム)が混在していた。販売管理システムと周辺システムは中継サーバを介したバッチ転送、販売管理システムと会計システム間はフロッピーディスクによるデータ連携が課題となっていた。そこでSOA技術を活用し、現状業務を継続しながら段階的にシステムを再構築していくことになった。

第1ステップとして、CentraSiteによる既存システム情報の見える化と一元管理に着手。現状のシステム構成とインタフェースを洗い出し、SOAリポジトリに格納。これによりシステム変更時の影響範囲が明確になり、第2ステップでの段階的なシステム再編をスムーズに行えるようになった。

第2ステップでは、サービスバス製品であるInterstage Service Integratorを利用してSOA対応パッケージでレガシーシステムを再構築。定義ベースで既存システムとSOA対応パッケージを連携させ、データ形式の違いはデータ変換のカスタマイズのみで吸収し、わずか3カ月の短期間でシステム移行を実現した。

これら再構築により運用コストは半減する見込みという。また、顧客への納期回答が従来の数時間から即答というように、大幅なレスポンス向上も実現している。

【SOA技術をベースに販売管理と会計システムを連携した事例】

事例3:業務の見える化と継続的な改善[BPM]

「Interstage BPM Flow」によるBPMで、通販用商品カタログの企画/編集業務を改善し、大幅な効率化を実現した事例である。

通販C社の作成するカタログには商品が600~700種類、取引先が300社もあり、作成に7カ月もかかっていた。電話やメール等の人手による膨大な作業の改善が求められ、同社では取引先や関連部門を含めた業務プロセスの一元管理と自動化を目指した。

従来は、締め切りの異なる膨大な作業指示/確認を、電子メールや電話/Faxを利用して行っていた。各工程の締め切りを意識して、日々発生する作業を依頼元担当者が人手で調整/管理していたのだ。これら一連の業務を取引先も含めInterstage BPM Flowでシステム化し、日々起きる作業指示/確認プロセスを取引先と共有することによって全体工程の管理ができるようにした。さらに、すべての実行記録・監査ログを自動採取、いつ、誰が、何をしたかわかるようにし、進捗をリアルタイムで共有できるようにした。特に遅延については取引先に督促メール、担当者にはアラームを自動的にあげるので、作業ミスもなくなり、担当者の進捗管理の負荷を大幅に軽減させることができた。その結果、従来7カ月かかっていた企画/編集期間を5カ月以内に短縮できる見込みとのことである。

【多数の取引先や部門がかかわる複雑な企画/編集工程を効率化した事例】

事例4:現場での迅速な情報活用[オペレーショナルBI]

「Interstage Data Effector」により、データ集計処理時間を大幅に短縮させた事例である。

流通卸業D社では、販売データを即日集計して翌日の営業活動に活かしたいと考えていた。だが、現状の手組みシステムでは10時間も必要となり、夜間バッチに組み込むことをあきらめていた。

従来のシステムは、会計データ、加工データ、販売データを手組みのアプリケーションによりソートとマージを繰り返す。この仕組みをInterstage Data Effectorに置き換えることで、データ処理時間はわずかに40分に短縮。要件として与えられていた4時間以内のデータ生成をクリアし、営業担当者は翌朝最新の売上情報を入手できるようになった。

【データ集計処理時間を大幅に短縮させ営業力を強化した事例】

SOA適用にむけた導入パターンとSOAミドルウェア

「システムの全体最適化の実現に向けて、総合的に全体を見渡してやっていくのがベストですが、一気にやっていくのはなかなか難しい。そこでまずはお客様が抱えている身近な課題に着目して、そこにSOAという技術を活用しながら、全体最適へとステップアップしていくというのが富士通の考え方になります。具体的に着手するポイントとしては、4つの切り口があると考えます。」(今田)

富士通の提案する導入パターンとは、以下の4つである。

  1. 「ユーザ利便性の向上」 人を中心とするフロントエンド側を統合し、高い操作性とクライアントのコスト削減から業務の最適化を図るアプローチ方法。

  2. 「段階的なシステム再編」 バックエンドの業務システム最適化。既存システムを活かしながら、変化に強いシステムを再構築できるアプローチ方法。

  3. 「業務プロセスの改善」 人の作業も含めて業務プロセスを可視化・自動化し、フロントエンドとバックエンドのシステムを繋いで全体を統合するアプローチ方法。

  4. 「業務データのスピード活用」 現場が欲しいデータをミドルウェア利用でスピーディに提供。現場の様々なニーズへタイムリーに応えていくアプローチ方法

【SOA適用に向けた導入パターン】


【導入パターンとSOAミドルウェア】


4つの導入パターンはどこからでも適用できる。顧客にとって切実な課題から着手して徐々に広げていき、最終的な全体最適に向かっていくことがポイントだ。

全体最適化に向けた考え方とアプローチ

全体最適化を実現するSOAの可能性は理解できても、「SOAは敷居が高い」「導入してもすぐに効果を得ることが困難」「ビッグバン的な導入はリスクが大きい」と考えている企業が多いのも事実である。あるべき姿が見えているが、そこまでの過程がわからず、二の足を踏んでいる企業が多いのである。

【全体最適化へのアプローチ】

「だからこそ、ここで紹介した4つの導入パターンを参考に、SOAの適用をご検討ください。富士通は既存システムを活かし、段階的に全体最適を実現するSOAミドルウェア製品をご提供しています。当社のミドルウェアは実際に社内システムに適用し、実用性を高めるとともに、構築ノウハウを蓄積しております。安心してご活用ください」と、今田は訴える。

技術ばかりが先行しがちなSOAだが、富士通は企業の現状に即した形の導入を提案している。SOAは構想の時期から、すでに実践の時期に来ているのである。


Interstage BPM Flowの後継製品としてInterstage Business Process Manager、Interstage BPM Monitoringの後継製品としてInterstage Business Process Manager Analyticsを2008年6月16日から販売開始しました。

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