富士通

ITpro EXPO 2008 Autumn

富士通株式会社
ソフトウェア事業本部
アプリケーションマネジメント・
ミドルウェア事業部
事業部長
藤井 泰


「SOA」はあくまで手段
ユーザーの目的に応じたシステム構築を

システムの再編にあたり、ともすれば「SOAを導入する」というコンセプトが先行しがちだが、SOAはあくまでも手段であり目的ではない。富士通では、ユーザーの目的を第一に考えた、現実的かつ効果的なSOA導入のアプローチを提唱している。この講演では、事例を基にシステムを段階的に最適化するアプローチが解説され、Ajaxによって営業フロント・システムを再構築したサンゲツがその効果を語った。
[2008年11月21日掲載]



経営視点でのIT活用や、社会的責任を果たすための新たなITシステム導入のニーズが高まるなか、全体最適化の有効な手段であるSOA導入は着実に増えている。しかし「業務システムの統合や全体最適化の商談は増加傾向ですが、SOAは本来どうあるべきかをお客様視点で見直すべきです」と富士通の藤井 泰氏は、コンセプト先行の考え方に疑問を呈する。

ユーザーの目的を第一に考える 段階的なシステム最適化の4事例

藤井氏はシステム刷新の事例を4つの切り口で紹介した。1つ目は、Web2.0技術であるAjax(Asynchronous JavaScript + XML)を活用し、受発注業務を刷新した事例(後述するサンゲツの事例)。Webブラウザのみで動作するシステムに移行し、クライアント/サーバー・システムを超える操作性を実現した。

2つ目は、通信販売向け商品カタログの企画・編集業務で、BPM(Business Process Management)による業務の見える化と、継続的な改善を行った事例だ。それまで電子メールや電話で行っていた作業指示や確認をBPMに組み込んで自動化し、編集長、取引先など、役割に沿った視点から業務の状況を迅速に把握できるようになった。

3つ目はシステム同士をつなぐ基盤であるESB(Enterprise Service Bus)やサービス・リポジトリによって、既存システムを見える化し有効活用しながら再構築した事例。SOA技術をベースに既存の販売管理システムと会計システムの情報を一元化しつつ、パッケージソフトを適用して段階的に新システムに移行した。

4つ目は、現場での迅速な情報活用を実現した事例だ。「基幹系システムから情報系システムに本当に活用できるデータを選んで渡すのがポイントです」と藤井氏は解説する。ツールを使って一度のデータ読み込みで仕分けを高速処理し、データ集計の時間を、導入前の10時間から40分に短縮した。

4つの切り口で考える 現実的なSOA導入パターン

藤井氏は「SOAは企業価値を高めるツールととらえています。人、業務プロセス、IT資産、情報の4つの切り口からシステムの見える化を図り、全体最適化に向けてPDCAサイクルを回せるシステムを作れます」とSOAの価値を定義する。

4つの切り口に応じたSOAの導入パターンとは、(1)ユーザー利便性の向上、(2)業務プロセスの改善、(3)変化に強いシステム構築、(4)タイムリーな情報活用である。これに基づく部分的なSOA適用に着手し、段階的にシステム全体を最適化する。それを実現するSOAミドルウエアが、同社の「Interstage(インターステージ)」である。開発プロセスを統制し、アプリケーションのライフサイクルを見える化する新製品も先日発表され、アプリケーション資産の再利用と保守性はさらに向上する。

「当社では、既存のシステムを生かしながら、段階的にシステムを再編できるミドルウエアを提供し、お客様のシステムの全体最適化を支援します」と藤井氏は、同社のSOAに対する現実的な考え方を示しながら、それを実現する体制が整っていることを強調した。

ユーザーの目的に合わせたSOAミドルウェア
富士通のSOAミドルウェアは、「人」「業務プロセス」「IT 資産」「情報」という4つの切り口で
ユーザーの目的に即した段階的な最適化を実現する

メリットを実感しながらシステムの再構築を進める

「ユーザー利便性の向上」を実現した事例として、同社の顧客企業であるサンゲツの多田健次氏から「Ajaxによる営業フロント・システム」の構築事例が紹介された。インテリアの専門商社として、壁紙、床材、カーテン、椅子生地などインテリア商品の開発と販売をトータルに手掛ける同社では、既存システムの再構築を検討していた。

「システムは不都合なく使われていましたから、再構築は現場ではなく情報システム部門側の考えでした。そこで、現場の業務効率に直結する営業フロント・システムに焦点を当て、効果を実感してもらおうと考えたのです」と、多田氏は背景を説明する。

営業フロント・システムはホスト・コンピュータ上で稼働していたが、受注画面だけで8種類あり、操作に熟練が求められた。そこで、バックエンドはそのままに、ユーザー作業に直結するフロントのインタフェース部分だけを変更し、受注入力業務にかかる時間と手間を軽減したのである。これにより、経験の浅いスタッフでも業務が行えるようにしようと考えたのだ。

「当初、単純にシステムをWeb化しようとしましたが、レスポンスが遅く適用は難しいと判断し、Ajaxに注目したのです」と多田氏は語る。そして、4カ月という短期間での構築と、基幹系システムを止めずに開発できるという条件をクリアしたことが決め手となり、富士通に開発を委託した。

多田氏はその効果について「スキルが身に着くまで半年以上かかっていた入力操作が、誰でもすぐできるようになり、受注業務に要する時間は3分の1に短縮されました」と満足し、「今後は既存の社内システムとの連携や、得意先への拡張へと発展させていきたい」と抱負を語った。

受発注業務を刷新したサンゲツ
Ajaxを活用することで業務画面の操作性を高め、受発注業務を効率化。
既存システムに極力手を入れず、業務の大幅なスピードアップを実現

(注)本記事内に記載されている会社名、製品名、およびサービス名などは、それぞれ各社の商標または登録商標です。

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本記事の内容は、日経BP社の許可により「ITproEXPO SOA Special レビュー(2008年11月12日から12月9日実施)」から抜粋したものです。禁無断転載(C)日経BP社

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