全体最適を支えるSOAミドルウェア
激しく変化するビジネス環境下では、変化への即応力を強化するため業務の継続的な改善が必要です。そのためには、人の作業を含めた業務プロセスを「見える化」「自動化」するとともに、改善のサイクルを迅速かつ効果的に回せることが重要です。連載第1回目は、SOAの“中核”として業務プロセスを改善するためのソリューション「Interstage Business Process Manager」について紹介します。
[2008年7月22日掲載]
現場の持つポテンシャルをフルに発揮し、企業の競争力を高めていくために求められるのが、人・プロセス・ITの全体最適化の実現です。しかしながら、これを一気に成し遂げていくのは容易なことではありません。そこでまずは企業が抱えている身近な課題に着目し、SOAの技術を活用しながら、全体最適へとステップアップしていくというのが富士通の考え方です。それには、次の4つの切り口(導入パターン)があります。
人を中心とするフロントエンド側を統合し、高い操作性とクライアントのコスト削減から業務の最適化を図る。
バックエンドの業務システム最適化。既存システムを活かしながら、変化に強いシステムを再構築する。
人の作業も含めて業務プロセスを可視化・自動化し、フロントエンドとバックエンドのシステムをつないで全体を統合する。
現場が欲しいデータをミドルウェア利用でスピーディに提供し、現場の様々なニーズへタイムリーに応えていく。
このうちの「(3)業務プロセスの改善」を担うのがBPM(Business Process Management:業務プロセス管理)と呼ばれるカテゴリの製品です。BPMとは、「業務プロセスの分析・設計を実行することにより、継続的に業務を改善するための見える化・自動化を支援する基盤」と定義することができるでしょう。
BPM市場はワールドワイドで拡大を続けています。調査会社によると2006年から2011年にかけて年平均20%以上の成長率で伸びていくと予測しています。こうした需要の伸びと、その背後にある業務改革のニーズに応える富士通のビジネスプロセス管理ソフトウェアが「Interstage Business Process Manager」です。Interstage Business Process Managerは、1998年から海外で先行して展開してきた商品で、すでに世界20カ国以上で販売され、金融、保険、政府、公共機関、メディア、大学をはじめ、さまざまな業種・機関において実績を重ねてきました。
このInterstage Business Process Managerは、業務プロセスをフロー図にして可視化し、現行業務の問題点を明確にするとともに、これまで書類やメール、電話などで行っていた業務プロセスをシステム化することで業務効率を向上します。また、業務の実行状況を監視・分析するソフトウェアとして「Interstage Business Process Manager Analytics」を提供します。
SOAの実践! 事例から学ぶ効果的な導入パターン
段階的なシステム再編の構築手順を中心にご紹介
日時 2008年9月17日(水曜日)
14時~16時30分
場所 Platform Solution Center
(東京・浜松町)
もう少し詳しく、Interstage Business Process ManagerならびにInterstage Business Process Manager Analyticsの特長を掘り下げて解説していきましょう。BPMが対象とする業務プロセスの領域には、大きく分けて「人の判断をあまり必要とせず、あらかじめ定められたルールに基づいて流れていく領域」と「個々の局面において、人の判断が大きく介在する領域」の2つがあります。前者は、主に工場の製造ラインで用いられている業務プロセスが代表的で、それを支えるシステムもかなりの部分が自動化されています。対して後者すなわち「人のかかわる業務プロセスの改善」を最大のターゲットとするInterstage Business Process Managerは、人が行う業務とITシステムをつなぐヒューマン・セントリックなBPMをサポートする基盤ソフトウェアなのです(図1)。
具体的には、「承認」「拒否」「委任」といった人間の判断が欠かせない業務プロセスをシステム化することで、従来は見えていなかった業務の実行状況を正確に管理することが可能となります。また、Interstage Business Process Managerは、さまざまな周辺システムと柔軟に連携できるため、既存の業務システムを活用したシステム構築が可能です。

【図1 : Interstage Business Process ManagerとInterstage Business Process Manager Analyticsで業務プロセスを「見える化」「自動化」することで、継続的に業務を改善できる】
業務プロセスは、一度の見直しで最適と思っても、ビジネス環境の激しい変化に対応し、柔軟に変えていく必要があります。したがって、業務プロセスを回しながらその稼働状況を監視し、異常箇所へ対処したり、ボトルネックを解消したり、常にブラッシュアップを続けていくことが重要です。このような改善サイクルを迅速に回すためには、一般的に言われるPDCAの中でも、状況を把握し(Check)、改善する(Act)部分にポイントを置いたCAPDo(Check-Act-Plan-Do)サイクルが有効と言われています。当社はここにこだわってBPM製品を提供しています。
「C」Checkに対応するのが、Interstage Business Process Manager Analyticsです。業務プロセスにおける問題を早期に発見し、改善策を導くための監視・分析機能を提供します。
具体的には、業務の実行情報(イベント)やログを用いて、業務プロセスの実行状況ならびにそこで発生する異常をリアルタイムに監視します。ここでいう業務プロセスの監視とは、ある限定された特定の事象の稼働状況だけが対象ではありません。数十件、数百件という複数の業務プロセスを束ねた形で、全体傾向としてどこがボトルネックになっているのか、どんな異常が起こりやすいか分析できることを強みとしています。これにより、業務プロセスの実行に必要となる処理日数を事前に見積もり、その日数との乖離を監視することで、問題が発生しそうな案件を事前に検知することが可能となります。
例えば、5日間の工期を要する製品について、製造指示が納期の1週間前になっても出されていない場合、監視機能がアラートを発してその業務の担当者や管理者に指示を促し、納期遅れといった問題を事前に回避するのです。
また、業務ルールやKPI(Key Performance Indicator:重要評価指標)を設定することにより、実行された業務がルールから逸脱した場合や目安値を超えた場合に自動的に警告通知が関係者に送信され、対応作業を促します。
さらに「A」(Act)に対応するのが、Interstage Business Process Managerの分析・シミュレーション機能です。業務プロセスのシミュレーションを行うには、業務処理件数、作業時間、投入人員など、多くの複雑な条件設定が必要となります。前もって仮想的な数値で条件設定したシミュレーションも可能です。しかし、ベースとなる現状を見誤ったままシミュレーションを行ってしまうと、業務プロセスの改善効果の見積り結果も、実態とはかけ離れたものになりかねません。
Interstage Business Process Managerでは、このシミュレーション条件を、実際に業務プロセスを実行した「履歴」より算出できます。算出された条件を必要に応じて修正し、業務改善効果のシミュレーションが正確かつ効率的に行えます。
Interstage Business Process ManagerとInterstage Business Process Manager Analyticsを組み合わせると、「業務プロセスの監視」「異常検出」「異常に対する迅速な対処」が可能です。また、業務プロセスの活動状況を分析することで、業務改善のための具体的なポイントが明確になり、業務プロセスの最適化および、継続的な業務改善がより容易になります。
その他にも、Interstage Business Process Managerでは、次のような機能を特長としています。
APIを利用した業務画面開発機能のみならず、業務画面テンプレートを提供します。また、業務画面テンプレートをカスタマイズする機能も提供します。
業務プロセスごとに必要なプロセス定義、フォーム、クラスファイルなどの資産を、業務プロセス単位にパッケージ化する機能を提供。資産の種類ごとに配置する手間を省くと同時に管理・メンテナンスコストを削減できます。
それでは、業務プロセスにおける問題の早期検知を実現するInterstage Business Process Manager Analyticsの監視・分析機能と、業務プロセスの効率的改善を実現するInterstage Business Process Managerのシミュレーション機能を活用し、どのような効果が得られるのかを紹介していきます。まず、監視機能を導入すると、各業務プロセスのステータスを一覧表でリアルタイムに確認できます(図2)。

【図2 : Interstage Business Process Manager Analyticsで業務プロセス全体を監視、問題を早期検知して対処を促す】
図2の業務状況の表示画面は、商品カタログの企画/編集の業務プロセスを一覧表示したものです。商品カタログの作成作業には、編集者、コピーライター、デザイナー、取引先、印刷会社など、社内外の多くの人がかかわります。さまざまな案件の作業が同時進行することも多く、進捗状況の把握や管理は非常に煩雑であり困難でした。これまで担当者が電話やFax、メールなどを使って個別に確認していた進捗状況を、Interstage Business Process Manager Analyticsの監視機能によって一元化することで、業務プロセス全体としての問題点を即座に把握できます。また、一覧の中のアラート(警告)が出ている項目をクリックすると、その対象プロセスのフローへとドリルダウンできます。画面からは、カタログ修正プロセスが取引先で作業中のまま停滞していることが見て取れます。このような状況を早期検知し、把握できれば、取引先に対し状況伺いの電話を入れるなど、即座にアクションをとることが可能となります。
一方のInterstage Business Process Managerの分析・シミュレーション機能は、実際に今動いている業務プロセスのフローに直接変更を加え、改善効果を見積もることが可能です。
図3では、営業部門で行っている販売審査業務(左側:水色のスイムレーン部分)にて、同じ担当者が注文入力と販売可否判定の2つの業務を兼務しています。このため、注文入力の業務がボトルネックとなっていました。そこで改善策として、システム制御フロー(右側:黄色のスイムレーン部分)で実行している与信残高確認から、責任者承認に直接処理が行くバイパスルートを作成し、シミュレーションを行いました。この結果として示されたのが、改善前後の処理時間の変化を示す2つのグラフです。これを見比べることで、営業窓口の作業負荷軽減によりボトルネックが解消され、注文入力の処理がスムーズになることを定量的に判断できます。

【図3 : 業務プロセスのフローに直接変更を加えることで、改善効果を見積もることができるInterstage Business Process Managerのシミュレーション機能】
上記の機能によってInterstage Business Process Managerは、いつ、誰が、何をして、どこが問題か、どうなっているかといった人の行動や判断を「見える化」します。これにより、業務改善のCAPDoサイクルを効率的に回せるようになり、人・プロセス・ITの全体最適化を実現していきます。
SOAの実践! 事例から学ぶ効果的な導入パターン
段階的なシステム再編の構築手順を中心にご紹介![]()
日時:2008年9月17日(水曜日) 14時~16時30分
場所:Platform Solution Center(東京・浜松町)
(注)開催日以降または満員等により上記セミナーは予告なく締め切らせていただくことがございます。あらかじめご了承下さい。