
[2007年10月31日掲載]
IT全般統制を実施・監査するには、ITシステムの性能低下を予兆の段階で検知し、分析と評価の結果に基づいて予防策を立案・実施するキャパシティ管理が欠かせません。これをITIL(Information Technology Infrastructure Library)のサービスデリバリの考え方に基づいて行うのが、富士通のSystemwalker Service Quality Coordinator(システムウォーカー サービス クオリティ コーディネーター)です。性能低下の予兆検知にはしきい値に基づく自動監視と基準値による分析の二つの手段が利用でき、大規模で構成が複雑なITシステムの場合も安定した稼働を維持できます。また、分析結果は1,200種類にも及ぶレポートとしてまとめられ、これらの分析結果を評価することによって、キャパシティ管理の最終的な目標である予防対策の立案・実施や、投資の最適化が可能になります。

【キャパシティ管理を担当するSystemwalker Service Quality Coordinator。
ITILのサービスデリバリの考え方に基づいてシステムの運用・管理を的確に遂行】
システム全体の最適化支援:Systemwalker Service Quality Coordinator
内部統制の実現において、ITは非常に重要な役割を担っています。内部統制には全社レベル統制、業務プロセス統制、IT全般統制の3階層があり、IT全般統制がそれぞれの業務プロセス統制を支え、すべての業務プロセス統制が効くことによって全社レベルの統制が実現される構造になっています。このIT全般統制とは「企業がITシステムを効果的に活用し、その運用が健全かつ有効に行われている状態」のことです。その評価項目として企業会計審議会の実施基準では「システムの開発、変更・保守」「システムの運用・管理」「システムの安全性の確保」「外部委託に関する契約の管理」の4項目が挙げられています。
富士通の統合運用管理ソフトウェアSystemwalkerは、このIT全般統制の実施・監査を支援します。今回取り上げるSystemwalker Service Quality Coordinatorは、キャパシティ管理によって、システムの運用・管理 に関する質的な向上とIT投資の最適化を実現します。

富士通サポートセンターの調べ(2005年)では、重大トラブルの58%がスローダウンなどの性能問題に起因しているということがわかっています。キャパシティ管理とは、そうした問題が起きないようにするために「性能低下を予兆の段階で検知することによってシステムを安定稼働させる」ことです。実際の作業レベルでは、適切な判定基準を設定してITリソースの性能を監視し、得られた結果を分析・評価することによって性能低下の予防策を立案・実施します。
実効性の高いキャパシティ管理を可能とするために、Systemwalker Service Quality Coordinatorには2種類の性能判定手段が標準で装備されています。
第1の手段は、しきい値に基づく自動監視です。この方法では、CPU使用率やメモリ使用量などのITリソースごとに性能の上限/下限を登録しておき、実際の性能が上限/下限を超えたときにアラームアクションを行わせることになります。なお、このアラームアクションには、イベントログへの出力、syslogへのメッセージ出力、管理者へのメール通知、SNMPトラップ通知、Systemwalker Centric Manager(システムウォーカー セントリック マネージャー)への通知、コマンド実行などが含まれます。Systemwalker Centric Managerを使えば、複数のサーバからのアラームを一元管理することができます。
このしきい値は、一日の時間帯に対して分単位で設定できます。したがって、昼間はオンライン中心、夜間はバッチ中心といった運用の場合にも、それぞれの時間帯に求められる特性に合わせたしきい値の設定ができます。
第2の手段は、Systemwalker Service Quality Coordinatorの特長である「基準値による分析」です。この方法では、管理データベースに一定間隔で保存されている過去の性能データを基準値として、システムの稼働状態との差分を画面上で簡単に比較することができます。管理画面上で強調表示された時間を軸に、関連する性能情報を調べます。これにより、ボトルネックの根本原因の特定や性能低下の予兆を早期に発見することができます。
この二つの手段を併用することで、より的確なキャパシティ管理を行うことができます。絶対に維持すべき性能をしきい値で自動監視しつつ、気になる事象を発見した場合には、基準値による分析で予兆を細かく分析していくのです。

【Systemwalker Service Quality Coordinatorに備わっている特徴的な性能判定法の「基準値による分析」。
正常動作時の性能データと比較することにより、性能低下またはボトルネック箇所を赤色で表示】
性能分析の結果は、レポートとして表示・印刷することもできます。Systemwalker Service Quality Coordinatorで作成できるレポートは約1,200種類あります。運用管理者は、様々な視点で分析を行い、システム稼働率やレスポンス状況といった業務サービス品質の傾向を的確につかむことができます。レポートにはCPU稼働状況報告レポート、プロセス状況レポート、ストレージスループットなどがあり、日報/週報/月報/年報の形式で上長への稼働レポートや会議用のシステム稼働報告としてまとめることもできます。

【1200種にもおよぶ「Systemwalker Service Quality Coordinator」の多彩なレポート機能】
キャパシティ管理の最終的な目標である「適切な予防対策の立案・実施」は、性能の監視と分析の結果を評価することによって可能になります。
最も即効性を期待できるのは、性能低下の予兆を発見した時の早期切り分けと問題箇所の特定です。しきい値に基づく自動監視や基準値による分析で性能低下を検出した場合、ドリルダウンにより詳細情報を確認し、どのITリソースに問題が発生しているかを突き止めていきます。
一例として、Webサーバ、アプリケーションサーバ、データベースサーバを使って稼働している3階層型Webアプリケーションで問題箇所を特定するケースを想定してみましょう。

【性能監視・分析の結果に基づいて性能低下の予兆を早期切り分けし、問題箇所を特定】
運用管理者が予兆として最初に得られるもののひとつに、エンドユーザーにおけるレスポンスがしきい値や基準値より低いという事象があります。
そこで、そのレスポンス低下がどのサーバによって引き起こされているのか調べることにします。3階層型Webアプリケーションの場合、Webトランザクションモニタ、サーバモニタ、DBモニタを画面表示させ、それぞれの層の稼働状況をチェックします。Webトランザクションモニタではセンター側流量とレスポンス、サーバモニタではCPU/メモリ/ディスク、DBモニタではバッファーヒット率などが典型的なチェックポイントとなります。各層が複数の製品やサーバで構成されている場合は、個別に調べていくこともできます。
さらに、アプリケーションサーバがInterstage、データベースサーバがSymfowareであれば、Interstageのワークユニット単位でのトランザクション情報(ドリルダウン情報)と、Symfowareのトランザクション別のアクセス情報(ドリルダウン情報)をあわせて横断的に調べることで、ボトルネックとなっている箇所やその原因をより詳細に突き止めることもできます。
このような手順で問題の箇所の特定ができると、その後の対応は容易になります。Webサーバに負荷がかかっているのであればロードバランサーの調整やWebサーバの追加が必要になります。アプリケーションサーバやデータベースサーバで性能低下が発生している場合は、それらのサーバのチューニング、または手動フェイルオーバーや再起動を行うことになるかもしれません。
情報システム部門や経営者層が、投資の妥当性を判断するための情報として、「Systemwalker Service Quality Coordinator」で作成した各種レポートを活用することができます。
今後の投資計画を策定する際に役立つのは、回帰分析や相関関係のレポートです。例えば、処理量対CPU使用率の回帰分析レポートを見ると処理量の増加に伴ってCPU使用率がどのように高まっていくかを予測できます。また、2つの要素の相関分析レポートを作成するとサービス品質(リクエスト数やレスポンス時間)とリソース(CPU使用率など)の関係が分かります。
これらの分析レポートにより、現在の投資が適正であるかどうかの判断ができます。過小であればすぐに(または次期予算で)追加、過剰なITリソースについては次期予算での増強を見送るといった対処をすれば、最小の投資で最大の価値を引き出すことは難しくありません。

今回はIT全般統制におけるキャパシティ管理の実現を支援する「Systemwalker Service Quality Coordinator」をご紹介しました。「Systemwalker Service Quality Coordinator」は、様々な視点からの分析によって性能トラブルの未然防止からトラブルの早期切り分け、および投資の最適化を実現します。
次回はソフトウェアライセンス管理やセキュリティ管理を取り上げます。

第1回 「キャパシティ管理と問題箇所特定/投資最適化」
[2007年10月31日掲載]
第2回 「IT資産管理とクライアントセキュリティ管理」[2007年11月28日掲載]
第3回 「システム全体の統合運用管理」[2007年12月21日掲載]
第4回 「システム運用の自動化により業務運用を統制」[2008年1月25日掲載]
システム全体の最適化支援:Systemwalker Service Quality Coordinator
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