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PRIMECLUSTER Wizard for Oracle 4.3  導入運用手引書
FUJITSU Software

付録C Oracle Grid InfrastructureのインストールとASMインスタンス、データベースの作成

ここではスタンバイ運用において Oracle 11g R2/12c R1で ASM を使用する場合の構築手順について説明します。

ポイント

スタンバイ運用において Oracle 11g R2/12c R1 で ASM を使用する場合は Oracle Grid Infrastructure をインストールする必要があります。

注意

  • Oracle Grid Infrastructure をインストールする場合は Oracle Database のインストールユーザーと Oracle Grid Infrastructure のインストールユーザーを分割する構成をサポートします。単一インストールユーザーの構成はサポートしません。
    また、Oracle Database のインストールユーザーの ORACLE_BASE 環境変数と Oracle Grid Infrastructure のインストールユーザーの ORACLE_BASE 環境変数は、異なるディレクトリを指定してください。

  • PRIMECLUSTER Wizard for Oracleで、Oracle 11g R2/12c R1のASMをスタンバイ運用で使用する場合、Oracleのサービスリソースは使用できません。

Oracle Grid Infrastructure および Oracle Database は両ノードのローカルディスクにインストールします。

ASM インスタンスとデータベースは運用ノードで作成し、待機ノードでは運用ノードで作成した ASM インスタンスとデータベースを動作させるための設定を行います。

以下に、構築手順を示します。

項番

概要

運用ノード

待機ノード

1

カーネルパラメータの設定

カーネルパラメータの設定

2

Grid ユーザー、Oracle ユーザーを作成

Grid ユーザー、Oracle ユーザーを作成

3

共用ディスク装置の設定

  

4

Oracle リソースを含まない userApplication の作成

Oracle リソースを含まない userApplication の作成

5

userApplication の起動

6

Oracle Grid Infrastructure をインストール

  

7

Oracle Database をインストール

  

8

データベースを作成

  

9

Oracle リスナーのIPアドレスを修正

10

ASM の SPFILE の確認

  

11

データベースのパラメータ・ファイルの確認

12

データベース、ASM、Oracle リスナーを停止

  

13

userApplication を切替え

14

  

Oracle Grid Infrastructure をインストール

15

  

Oracle Database をインストール

16

Oracle のディレクトリをコピー

Oracle のディレクトリをコピー

17

Oracle リスナーの再起動

18

  

ASM の SPFILE の変更

19

  

仮の Diskgroup を停止

20

  

ASM の再起動

21

  

仮の Diskgroup を削除

22

  

データベースリソースの登録

23

  

データベースリソースの起動

24

データベース、ASM、Oracle リスナーを停止

各手順の詳細は以下の通りです。

  1. カーネルパラメータの設定
    PRIMECLUSTERで使用する値に、Oracle自身が使用する値を加えたものを/etc/sysctl.confに設定する必要があります。カーネルパラメータの設定は使用するOracleのバージョンやデータベースの構成によって異なるため、Oracleのインストールガイドを参照してください。パラメータの設定は全てのノードで同一になることを推奨します。
    カーネルパラメータsemopmには、4以上の値を設定してください。

  2. Grid ユーザー、Oracle ユーザーを作成
    Oracle Grid Infrastructure のインストールユーザーとして Grid ユーザーを、Oracle Database のインストールユーザーとして Oracle ユーザーを作成してください。単一インストールユーザーの構成はサポートしません。
    Grid ユーザーの ORACLE_BASE 環境変数と Oracle ユーザーの ORACLE_BASE 環境変数は、異なるディレクトリを指定してください。
    Grid ユーザーの ORACLE_HOME 環境変数は Oracle Grid Infrastructure の ORACLE_HOME を設定してください。Oracle ユーザーの ORACLE_HOME 環境変数は、Oracle Database の ORACLE_HOME を設定してください。Grid ユーザーの ORACLE_SID 環境変数と Oracle ユーザーの ORACLE_SID 環境変数を設定してください。
    ユーザーID、グループID、環境変数は、全ノードで同一にしてください。

    Oracle ユーザーの環境変数の設定例です。
    (.bash_profile)

    ORACLE_BASE=/u01/app/oracle;  export ORACLE_BASE
    ORACLE_HOME=/u01/app/oracle/product/db;  export ORACLE_HOME
    ORACLE_SID=ora;  export ORACLE_SID
    LD_LIBRARY_PATH=$ORACLE_HOME/lib; export LD_LIBRARY_PATH
    PATH=$ORACLE_HOME/bin:/usr/bin:/bin:/usr/bin/X11/:/usr/local/bin;  export PATH

    Grid ユーザーの環境変数の設定例です。

    (.bash_profile)

    ORACLE_BASE=/u01/app/grid;  export ORACLE_BASE
    ORACLE_HOME=/u01/app/grid/product/db;  export ORACLE_HOME
    ORACLE_SID=+ASM;  export ORACLE_SID
    PATH=$ORACLE_HOME/bin:/usr/bin:/bin:/usr/bin/X11/:/usr/local/bin;  export PATH
  3. 共用ディスク装置の設定
    ASM で管理する共用ディスク装置を設定してください。このときデータベースを格納するための共用ディスクと、“14.”で仮の Diskgroup を作成するための共用ディスクを作成してください。作成した共用ディスクのデバイスファイルの所有者には Grid ユーザーを設定してください。

  4. Oracle リソースを含まない userApplication の作成
    Oracle Grid Infrastructure をインストールする前に Oracle リソースを含まない userApplication を作成してください。以下の章を参考にして userApplication を作成してください。

  5. 運用ノードで userApplication の起動
    運用ノードで userApplication を起動し、共用ディスク装置および論理IPアドレスが活性化されたことを確認してください。

  6. 運用ノードへ Oracle Grid Infrastructure をインストール
    Oracle のマニュアルおよびインストールガイドに従って、運用ノードのローカルディスクへ Grid ユーザーで Oracle Grid Infrastructure をインストールしてください。

    • Oracle 11g R2の場合
      Oracle Grid Infrastructure のインストール時のオプションは“Configure Oracle Grid Infrastructure for a Standalone Server”を選択し、ASM インスタンスおよびデータベースを格納する Diskgroup を作成してください。

    • Oracle 12c R1の場合
      Oracle Grid Infrastructureのインストール時のオプションは“Install and Configure Oracle Grid Infrastructure for a Standalone Server”を選択し、ASMインスタンスおよびデータベースを格納するDiskgroupを作成してください。

    ASM インスタンス作成時は SID の先頭に「+」がつくように設定してください (デフォルトでは“+ASM”となります) 。

  7. 運用ノードへ Oracle Database をインストール
    Oracle のマニュアルおよびインストールガイドに従って、運用ノードのローカルディスクへ Oracle ユーザーで Oracle Database をインストールしてください。ここでは、Oracle Database ソフトウェアのみをインストールして、データベースの作成は行わないでください。

  8. 運用ノードでデータベースを作成
    運用ノードで“6.”で作成した Diskgroup 上にデータベースを作成してください。

  9. Oracle リスナーのIPアドレスを修正
    論理IPアドレスを使用した Oracle リスナーの切替え運用を行う場合は、以下のファイルを修正して Oracle リスナーの IPアドレスに論理IPアドレスを設定してください。

    • <Grid ユーザーの$ORACLE_HOME>/network/admin/listener.ora

    また、Oracle リスナーの監視において、tnsping による Oracle リスナー動作監視を行う場合は、以下のファイルの設定を行ってください。

    • <Oracle ユーザーの$ORACLE_HOME>/network/admin/tnsnames.ora

    • <Grid ユーザーの$ORACLE_HOME>/network/admin/tnsnames.ora

    修正方法については“2.2.6 データベースの作成/設定”を参照してください。

  10. ASM の SPFILE の確認
    運用ノード上で Grid ユーザーで以下のコマンドを実行し、SPFILE の場所を確認してください。

    # su - <Grid ユーザー>
    $ export ORACLE_SID=+ASM
    $ asmcmd spget
    +DATA/asm/asmparameterfile/registry.xxx  ←この行を記録する
  11. データベースのパラメータ・ファイルの確認
    運用ノード上で Grid ユーザーで以下のコマンドを実行し、データベースのパラメータ・ファイルの場所を確認してください。

    # su - <Grid ユーザー>
    $ crsctl status resource <Oracleデータベースリソース名> -p | grep SPFILE
    SPFILE=+DATA/xxxx/spfilexxxx.ora  ←この行の“SPFILE=”から後ろを記録する

    Oracle データベースリソース名は、crsctl status resource -t コマンドで確認可能です。

    # su - <Grid ユーザー>
    $ crsctl status resource -t
    --------------------------------------------------------------------------------
    NAME           TARGET  STATE        SERVER                   STATE_DETAILS       
    --------------------------------------------------------------------------------
    Local Resources
    --------------------------------------------------------------------------------
    ora.DATA.dg
                   ONLINE  ONLINE       node1                                        
    ora.LISTENER.lsnr
                   ONLINE  ONLINE       node1                                        
    ora.asm
                   ONLINE  ONLINE       node1                    Started             
    ora.ons
                   OFFLINE OFFLINE      node1                                        
    --------------------------------------------------------------------------------
    Cluster Resources
    --------------------------------------------------------------------------------
    ora.orcl.db
          1        ONLINE  ONLINE       node1                    Open                
    ora.cssd
          1        ONLINE  ONLINE       node1                                        
    ora.diskmon
          1        OFFLINE OFFLINE                                                   
    ora.evmd
          1        ONLINE  ONLINE       node1                                        
    $

    この構成の場合、 "ora.orcl.db" が、Oracle データベースリソース名になります。

  12. データベース、ASM、Oracle リスナーを停止
    運用ノード上で Grid ユーザーで以下のコマンドを実行し、データベース、ASM、Oracle リスナーを停止してください。<db_name>は“8.”で作成したデータベース名を指定してください。<diskgroup_name>は“6.”で作成した Diskgroup を指定してください。

    # su - <Grid ユーザー>
    $ srvctl stop database -d <db_name>
    $ srvctl stop diskgroup -g <diskgroup_name>
    $ srvctl stop asm
    $ srvctl stop listener
  13. 待機ノードへ userApplication を切替え
    待機ノードへ userApplication を切替えて、共用ディスク装置および論理IPアドレスが活性化されたことを確認してください。

  14. 待機ノードへ Oracle Grid Infrastructure をインストール
    Oracle のマニュアルおよびインストールガイドに従って、待機ノードのローカルディスクへ Grid ユーザーで Oracle Grid Infrastructure をインストールしてください。

    • Oracle 11g R2の場合
      Oracle Grid Infrastructure のインストール時のオプションは“Configure Oracle Grid Infrastructure for a Standalone Server”を選択し、ASM インスタンスおよび仮の Diskgroup を作成してください。

    • Oracle 12c R1の場合
      Oracle Grid Infrastructureのインストール時のオプションは“Install and Configure Oracle Grid Infrastructure for a Standalone Server”を選択し、ASMインスタンスおよび仮のDiskgroupを作成してください。

    ASM インスタンスの SID は“6.”で作成した ASM インスタンスと同じ SID を指定してください。Diskgroup 名は“6.”で作成した Diskgroup と異なる名前で仮の Diskgroup を作成してください。

  15. 待機ノードへ Oracle Database をインストール
    Oracle のマニュアルおよびインストールガイドに従って、待機ノードのローカルディスクへ Oracle ユーザーで Oracle Database をインストールしてください。ここでは、Oracle Database ソフトウェアのみをインストールして、データベースの作成は行わないでください。

  16. Oracle のディレクトリをコピー
    運用ノードの以下のディレクトリを、待機ノードへコピーしてください。

    • <Oracle ユーザーの$ORACLE_HOME>/dbs 配下

    • <$ORACLE_BASE>/admin/$ORACLE_SID 配下

    • <$ORACLE_BASE>/diag 配下

    • <Grid ユーザーの$ORACLE_HOME>/network/admin 配下

    上記でコピーしたディレクトリとファイルのアクセス権限を運用ノードと同一にしてください。

    参考

    /opt/FJSVclora/sbin/cloracpy コマンドを使って、運用ノードの必要なファイルを tar 形式にバックアップすることができます。「4.4 cloracpy - Oracle 設定ツール(待機ノード用)」を参照してください。

    /opt/FJSVclora/sbin/cloracpy コマンドを使用する場合は、Oracle ユーザーと Grid ユーザーでそれぞれ実行してください。

  17. Oracle リスナーの再起動
    待機ノード上で Grid ユーザーで以下のコマンドを実行し、Oracle リスナーを再起動できることを確認してください。

    # su - <Grid ユーザー>
    $ srvctl stop listener
    $ srvctl start listener
  18. ASM の SPFILE の変更
    “10.”で確認した SPFILE の場所を設定します。

    • Oracle 11g R2の場合
      待機ノード上で Grid ユーザーで以下のコマンドを実行してください。

      # su - <Grid ユーザー>
      $ export ORACLE_SID=<ASMのSID>
      $ asmcmd spset <SPFILEのパス>
    • Oracle 12c R1の場合
      待機ノード上でGridユーザーで以下のコマンドを実行してください。
      <diskgroup_name>は“6.”で作成したDiskgroupを指定してください。

      # su - <Gridユーザー>
      $ export ORACLE_SID=<ASMのSID>
      $ sqlplus / as sysasm
      SQL> alter diskgroup <diskgroup_name> mount;
      SQL> exit
      $ asmcmd spset <SPFILEのパス>
      # su - <Gridユーザー>
      $ srvctl stop diskgroup -g <diskgroup_name>
  19. 仮の Diskgroup を停止
    待機ノード上で Grid ユーザーで以下のコマンドを実行し、仮の Diskgroup を停止してください。<diskgroup_name>は“14.”で作成した仮の Diskgroup を指定してください。

    # su - <Grid ユーザー>
    $ srvctl stop diskgroup -g <diskgroup_name>
  20. ASM の再起動
    待機ノード上で Grid ユーザーで以下のコマンドを実行し、ASM を再起動してください。

    # su - <Grid ユーザー>
    $ srvctl stop asm
    $ srvctl start asm
  21. 仮の Diskgroup を削除
    待機ノード上で Grid ユーザーで以下のコマンドを実行し、仮の Diskgroup を削除してください。<diskgroup_name>は“14.”で作成した仮の Diskgroup を指定してください。

    # su - <Grid ユーザー>
    $ srvctl remove diskgroup -g <diskgroup_name>
  22. データベースリソースの登録
    待機ノードの Oracle Restart に“8.”で作成したデータベースリソースを登録します。待機ノード上でOracle ユーザーで以下のコマンドを実行してください。<db_unique_name>と<db_name>は“8.”で作成したデータベース名を指定してください。<oracle_home>は Oracle ユーザーの ORACLE_HOME を指定してください。<パラメータ・ファイルのパス>は“11.”で確認したデータベースのパラメータ・ファイルを指定してください。<disk_group_list>は“6.”で作成した Diskgroup を指定してください。

    # su - <Oracle ユーザー>
    $ srvctl add database -d <db_unique_name> -o <oracle_home> -p <パラメータ・ファイルのパス> -n <db_name> -a <disk_group_list>
  23. 待機ノードでデータベースリソースの起動
    待機ノード上で Grid ユーザーで以下のコマンドを実行し、データベースを起動できることを確認してください。<db_name>は“8.”で作成したデータベース名を指定してください。

    # su - <Grid ユーザー>
    $ srvctl start database -d <db_name>
  24. データベース、ASM、Oracle リスナーを停止
    待機ノード上で Grid ユーザーで以下のコマンドを実行し、データベース、ASM、Oracle リスナーを停止してください。<db_name>は“8.”で作成したデータベース名を指定してください。<diskgroup_name>は“6.”で作成した Diskgroup を指定してください。

    # su - <Grid ユーザー>
    $ srvctl stop database -d <db_name>
    $ srvctl stop diskgroup -g <diskgroup_name>
    $ srvctl stop asm
    $ srvctl stop listener

Oracle Grid Infrastructure および Oracle Database のインストールが完了したら、Oracle Restart の設定変更と userApplication の作成を行います。これらの手順については、「2.3.2.2 環境構築時の注意(Oracle 11g R2/12c R1の場合)」を参照してください。