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第2章 機能> 2.8 IPv6への対応(Solaris版のみ)> 2.8.1 IPv6概要

2.8.1.4 IPv6アドレッシング

ここでは、IPv6プロトコルのアドレッシングについて説明します。

■アドレスタイプ

IPv6 アドレスは、インタフェースやインタフェースの集合を表現する 128 ビットの識別子で、以下の3つのアドレスタイプが定義されています。

ユニキャストアドレス

単一インタフェースの識別子です。

ユニキャストアドレスに送信されたパケットは、そのアドレスによって識別されるインタフェースに配送されます。

エニキャストアドレス

インタフェースの集合のための識別子 (通常、異なるノードに属します)。

エニキャストアドレスに送信されたパケットは、そのアドレスによって識別されるインタフェースの一つ (ルーティングプロトコルの距離計測に従って「最も近い」ルータ) に配送されます。

マルチキャストアドレス

インタフェースの集合のための識別子 (通常、異なるノードに属します)。

マルチキャストアドレスに送信されたパケットは、そのアドレスによって識別されるインタフェースの全てに配送されます。

なお、IPv6 ではブロードキャストアドレスは定義されていません。ブロードキャストアドレスは、マルチキャストアドレスで表現されます。

■アドレス表現形式

IPv6 アドレスは、アドレスフィールドの先行ビットによって、その属性が表現されます。この先行ビットを構成する可変長のフィールドは、形式プレフィクス (FP: Format Prefix) と呼ばれます。

以下に、FPとIPv6アドレスの割当て方法との関係を示します。

割当て

FP(2進数)

予約

0000 0000

未割当て

0000 0001

NSAP予約

0000 001

IPX予約

0000 010

未割当て

0000 011

0000 1

0001

集約可能グローバルユニキャスト

001

未割当て

010

011

100

101

110

1110

1111

1111 10

1111 110

1111 1110

リンクローカルユニキャスト

1111 1110 10

サイトローカルユニキャスト

1111 1110 11

マルチキャスト

1111 1111


以下に、それぞれのアドレス表現形式について説明します。

◆ユニキャストアドレス

ユニキャストアドレスは、連続したビットマスクで集約できます。

ユニキャストアドレスは、FPに続いて、サブネットプレフィクスやインタフェース識別子などの情報から構成されます。

128ビット

ユニキャストアドレス

FP:サブネットプレフィクス:インタフェース識別子


ユニキャストアドレスには、以下のアドレス形式が定義されています。

以下に、上記ユニキャストアドレスの表現形式について説明します。

集約可能グローバルアドレス

FP=001で始まります。

本アドレス形式のサブネットプレフィクスは、さらにTLA ID(トップレベル集約識別子)、NLA ID(ネクストレベル集約識別子)、SLA ID(サイトレベル集約識別子)などに分割されています。

IPv4のグローバルアドレスに相当します。

128ビット

FP

TLA ID

NLA ID

SLA ID

インタフェース識別子


サイトローカルアドレス

FP=1111 1110 11 (0xFEC0)で始まります。

本アドレスは、単一サイト内でのみ利用されます。

本アドレス形式のサブネットプレフィクスは、サブネットIDなどに分割されます。

IPv4のプライベートアドレスに相当します。

128ビット

FP

0

サブネットID

インタフェース識別子

複数のサイトを接続するルータは、送信元IPアドレス、又は送信先IPアドレスがサイトローカルアドレスの場合、当該パケットは他のサイトへ転送しないように設定します。

リンクローカルアドレス

FP=1111 1110 10 (0xFE80)で始まります。

本アドレスは、単一リンク上で、アドレス自動設定、近隣探索、アドレス解決など、本システムと直接通信する場合に利用されます。

本アドレス形式ではサブネットプレフィクスはありません。

IPv4のプライベートアドレスに相当します。

128ビット

FP

0

インタフェース識別子

未指定アドレス

FP=0000 0000 (0x0000)で始まる予約アドレスのうち、すべての0 のアドレスは 未指定アドレス と呼ばれます。

本アドレスは、初期化途上のホストが送信元IPアドレスとして使用する以外、認められていません。

通常、意識する必要はありません。

128ビット

FP

(0000 0000)

0

0

ループバックアドレス

FP=0000 0000(0x0000)で始まる予約アドレスのうち、最下位ビットだけが1であるアドレス(::1 )は、ループバックアドレス と呼ばれます。

ループバックアドレスは、ノード(ホスト、ルータ)が自分自身に IPv6パケットを送信するときに使用される場合があります。

本アドレスは、ネットワーク上を転送されることはありません。

IPv4のループバックアドレス(127.0.0.1)に相当します。

128ビット

FP

(0000 0000)

0

1

IPv4互換IPv6アドレス

FP=0000 0000(0x0000)で始まる予約アドレスのうち、下位32ビットにIPv4アドレスが格納されたアドレスは、IPv4互換IPv6アドレスと呼ばれます。

128ビット

FP

(0000 0000)

0

IPv4アドレス

IPv4射影IPv6アドレス

FP=0000 0000(0x0000)で始まる予約アドレスのうち、下位32ビットにIPv4アドレス、その上位16ビットに1が格納されたアドレスは、IPv4射影IPv6アドレスと呼ばれます。

128ビット

FP

(0000 0000)

0

0xFFFF

IPv4アドレス

本アドレスは、IPv6をサポートしていない、IPv4 のみのノードのアドレスを、IPv6 アドレスとして表現するために使用されます。

◆エニキャストアドレス

エニキャストアドレスは、ユニキャストアドレスと同様な表現形式であり、シンタクス上、ユニキャストアドレスと識別できません。

エニキャストアドレスは、一つ以上のネットワークインタフェースに割り当てられるIPアドレスで、エニキャストアドレス宛てに送信されたIPパケットは、当該IPアドレスが割り当てられたいずれかのネットワークインタフェースに転送されます。

現状、エニキャストアドレスには、以下の制約があります。

エニキャストアドレスの表現形式は以下の通りです。

128ビット

FP

サブネットプレフィクス

0


ここで、サブネットプレフィクスは特定のネットワークを示します。すなわち、シンタクス上、FP:サブネットプレフィクスで識別されたネットワーク上のインタフェースのうち、インタフェース識別子を 0 としたユニキャストアドレスとして表現されます。

本製品では、エニキャストアドレスか否かは意識しません。フィルタ条件として設定されているIPv6アドレスのプレフィクスマスクがエニキャストアドレスを含む場合、エニキャストアドレスもユニキャストアドレスと同様に、フィルタ条件に関連付けられた動作(アクション)が適用されます。

◆マルチキャストアドレス

マルチキャストアドレスは、IPv4同様、複数ノードのグループ識別子として定義されています。

あるノードは、どのようなマルチキャストグループにも属することができます。

128ビット

FP

flags

scope

グループ識別子

1111 1111

000T

yyyy

グループ識別子


本製品では、マルチキャストアドレスか否かは意識しません。フィルタ条件として設定されているIPv6アドレスがマルチキャストアドレスの場合、エニキャストアドレスやユニキャストアドレスと同様に、フィルタ条件に関連付けられた動作(アクション)が適用されます。


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