レッドハットとの協業
レッドハットとの協業 |
協業とEnterprise Linux開発モデル |
協業内容のご紹介 |
Red Hat Enterprise Linux(以下RHEL)は、日本のビジネスシーンで最も採用されているディストリビューションの1つです。
富士通の開発力はRHELのディストリビューターであるレッドハットとの協業を実現する大きな要因となりました。この協業関係はお客様のさまざまな「ほしい」の実現につながる数々の成果をあげています。

富士通とレッドハットの協業は、お客様が日々の業務に活用しているITシステムの性能や品質に対する不安や不便を少なくすることや、ミッションクリティカル領域における基幹システムに欠かせない新たな機能の実現につながっています。
表1.富士通とレッドハットの協業で生まれるお客様メリット
| 協業で行っていること | お客様メリット | |
|---|---|---|
| オンサイトエンジニア | 富士通のエンジニアが米国レッドハット内に常駐しレッドハットのエンジニアと協力してさまざまな課題に取り組んでいます。 | ここがGood! 問題解決や新機能実現の早期化につながっています。 |
| 両社の幹部クラスを交えた定例会議 | 開発プロセスからサポートサービス、ドキュメントまでの細部にわたる改善事項まで、両社のお客様が満足する方策を両社の幹部を交えて直接議論し、コミットメントしています。 | ここがGood! 情報提供、新機能実現、サポート強化など幅広い分野でお客様のご要望に応えていきます。 |
| 品質確保プロセスへの参加 | 富士通ミドルウェアとの組み合わせ検証の結果のフィードバックなどによりRHELリリース前に高い品質を実現しています。 | ここがGood! ミドルウェア対応も含めたトータルな高品質でRHELをお客様にお届けします。 |
| OSSコミュニティー対応への協力 | ミッションクリティカル領域に関してレッドハットと共同で機能追加提案をしています。 | ここがGood! メインフレームなどで培ったノウハウを活かし、ミッションクリティカル領域でも日本のお客様の要望を実現しています。 |
協業とEnterprise Linux開発モデル
近年オープンソース・コミュニティー(以下 OSSコミュニティー)においても、個人的な興味でOS開発を行なうエンジニアよりディストリビューターやサーバベンダー各社、サーバ向けミドルウェアを開発する会社、組み込み機器を開発する会社などのエンジニアにより開発が進められています。Linuxが個人ユース、組み込み用途からビジネスシステム、基幹システムへ利用範囲を拡大した結果です。この分野のLinuxをEnterprise Linuxと呼んでいます。
富士通はEnterprise Linuxのサポートサービスを提供しています。サポートサービス品質を向上するため、Linux OSでNo1.ディストリビューターであるレッドハットと非常に密接な協業関係を持ちOSSコミュニティーにおいて、共同で機能開発を行っています。
またこの協業により,、インシデント分析に基づいた品質強化、フィールドに提供するドキュメントの改善、レッドハットからリリースする前段階での品質強化、サポート部門と協力したサポートノウハウの強化などに取り組み、急速に改善効果をあげてきました。
Enterprise Linuxの開発モデルは、通常のプロダクト開発とは異なるモデルを採用しています。それは、OSSコミュニティーの成果物をすべての源としている点です。すべての機能開発・障害修正は、コミュニティーの成果物から取り出します。 ディストリビューターごとのEnterprise Linuxの差別化は、OSSコミュニティーの成果物を独自に変更するのではなく、どのOSSコミュニティーから成果物を集めるか、どのバージョンを取り込むか、ディストリビューションの維持管理フレームワークにより実現しています。
Enterprise Linuxの開発モデル

もう一つの特徴的な開発モデルは、Enterprise Linuxが取り込むOSSコミュニティー成果物のバージョンを初期リリース時に固定することです。以降のマイナーなリリースでは、より新しいバージョンのコミュニティーの成果物から、障害修正や限定的な新規機能部分だけを取り出し、固定した特定バージョンへ必要な差分を取り込むことで、品質を成熟させるモデルを採用しています。この作業をバックポートと呼びます。
Enterprise Linuxの品質成熟モデル

OSSコミュニティーの多数での開発者、査読者、テスト者により品質を確保したソースを部分的に取り出し、フィールドで十分に使い込まれたEnterprise Linuxに適用していくことで品質を成熟させるモデルです。猛烈な速度で進歩するコミュニティースタイルの品質確保モデルと、従来製品開発の成熟モデルを融合させた開発モデルです。
Enterprise Linuxは、特定バージョンですべての最新機能を提供することはできませんが、代わりに非常に高いプログラム品質を実現できています。これは、ディストリビューターやベンダーが、ミッションクリティカルを支えるための品質確保に注力することができるためです。このモデルが、前述のような高い品質を実現するベースとなっています。
協業内容のご紹介
富士通とレッドハットの密接な協業関係は大きく技術系とビジネス系に分けられますが、ここでは技術系を中心に紹介します。ビジネス系でも、両社の役員を交えたQBR(Quarterly Business Review)ミーティングを持つなど、強い協業関係にあります。
オンサイトエンジニアの配置
レッドハットのエンジニアリング拠点であるボストン近郊のWestfordのオフィスに、富士通のエンジニアを配置して、エンジニアリングレベルの密接な関係を持っています。オンサイトエンジニアは、富士通のお客様で発生したインシデント(QAや障害)の迅速な解決、富士通が必要な新機能をEnterprise Linuxにバックポートする活動を行っています。
幹部クラスを交えた定例ミーティング
エンジニアリングの課題およびサポートサービスの課題についてそれぞれ定例ミーティングをもち、両社の幹部クラスを交えて課題の解決にあたっています。エンジニアリングの定例ミーティングでは、個々の機能に関連する議題だけでなく、ドキュメント体系・ドキュメント内容の改善やレッドハットの開発プロセスの革新についても提案・議論しています。
サポートサービスの定例ミーティングでは、個別インシデントの対応の改善・インシデント対応時間の改善といった取り組みだけでなく、新たなサポートサービスのフレームワークを提案・議論し、実現するといった一歩踏み込んだ協業関係を築いています。この協業関係は国内ベンダーの中では富士通だけが取り組んでいます。
両社のお客様が異なる志向にあるため、これらの定例ミーティングでは非常に熱い議論になることが多くあります。最終的にはお客様が満足する方策を両社で見つけ出して実現するというプロセスが、うまく回せるようになって来ています。
レッドハットの品質確保プロセスへの参加
富士通は、Red Hat Enterprise Linuxの提供前に、富士通のミドルウェアと組み合わせた評価を含めた事前検証を実施し、結果をレッドハットにフィードバックすることで、リリース時にRed Hat Enterprise Linuxの高い品質を実現しています。また、両社のテスト分野をすみわけることで、テストセット開発の効率化にも取り組んでいます。さらにレッドハットの開発プロセスに入り込むことで、より高い品質の実現にも取り組んでいます。
OSSコミュニティーでの開発協業
OSSコミュニティーでの開発活動においても、両社が同一・類似機能の開発を同時に行う場合があります。このような場合、レッドハットのエンジニアと富士通のエンジニア・幹部クラスが直接コミュニケーションし、両社が実現したいことおよび提供時期を共有することで、機能取込みを効率化しています。
富士通はディストリビューターとの、このような強い協業関係により、お客様が求めるサポートサービス、品質レベルを実現しています。
この結果として、富士通はエンタープライズ分野におけるRed Hat Enterprise Linuxの国内販売シェアNo.1(数量と売り上げともに)の位置を維持しています。この事実も、協業関係を強める一因となっています。
