
「株式会社NTTデータ 様 (以下敬称略)では、共同センター方式で運営する「信用金庫共同システム」の「営業店基幹システム」を再構築しました。システムのオープン化を進めることで、多彩な金融サービスを提供できる新たな業務インフラを実現するのが狙いです。
新システムに求められたのは、金融システムに不可欠な高信頼・高可用性(注1)と市場環境変化にも即座に対応できる柔軟性。またシステムコストの低減も重要な課題となりました。
そこで同社では、各信用金庫の営業店と共同事務センターを結ぶ「コミュニケーションサーバ」のプラットフォームにLinuxを採用。次世代の金融ビジネスを切り拓く新たな事業基盤を確立することに成功しています。
| 導入前の課題 | 導入による効果 | |
|---|---|---|
環境変化に即応できる自由度の高いシステム基盤の整備 |
金融商品/サービスや業務フローの変化にも耐えうる柔軟性を確保 |
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各信用金庫の生命線ともいえる「営業店基幹システム」の信頼性の向上 |
クラスタ構成の採用に加え、電源やネットワークまでが冗長化され、通信の信頼性が従来にも増して向上 |
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導入コストだけでなく、将来的な投資も低減 |
Linux+IAサーバの採用で、初期導入コストは1 / 2。拡張性に富んだシステム構成により、新サービスにも少ない投資で対応可能に |
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既存資産を活かしつつ、新しい技術を活用 |
ネットワークのフルIP化を実現するのに合わせ、古いインターフェースも使用可能。新旧を区別することなく、すべての資産のシームレスな活用が実現 |
ビジネスとITの一体化が進んだ現在、SIerには顧客企業のニーズをより早く、確実に実現することが求められている。金融システム構築で豊富な実績を誇る株式会社NTTデータでは、高度な技術力とシステムライフサイクル全体をサポートできる総合力を活かし、高品質な金融ソリューションを提供し続けている。
株式会社NTTデータでは、信用金庫向けの共同システムを構築している。このシステムを利用することで、信用金庫は多額の投資を行なうことなく最先端の業務環境が利用できる。2004年3月には、営業店の業務機能強化を実現する「新営業店基幹システム」を構築。高信頼・高可用性と低コストを両立させるべく、Red Hat Enterprise Linux+PRIMERGYを採用した。
新営業店基幹システムは、「初期導入コスト半減」「信頼性・可用性の大幅な向上」など数多くのメリットを実現。また旧システムの機能を継承するだけでなく、様々な新サービスを柔軟に追加できる発展性も確保した。開発作業の過程では様々な問題も持ち上がったが、これを解決していく上で富士通のサービス・サポートが多大な貢献を果たした。
株式会社NTTデータでは今回構築した「新営業店基幹システム」も1つの機軸として、今後も新たな金融サービスや業務プロセスを実現していくためのソリューション提案を行なっていく。また今回培ったノウハウをLinuxコミュニティーにも還元すると同時に、他のソリューション分野においても積極的に活用していく予定である。

市場環境が大きく変化する中、顧客企業のビジネスを支えるSIerにも、より一層のスピードと柔軟さが求められています。かつては基幹システムの開発などに、1年以上の期間をかけるケースが珍しくありませんでした。しかし現在ではこうした重要なプロジェクトであっても、3ヶ月や半年といった短期間のうちに、顧客の要件を実現していくことが求められています。
このような状況の中で、特に金融システムの分野において強みを発揮しているのが、株式会社NTTデータです。同社では、高度な要件を伴う金融システムを数多く、手掛けてきており、とりわけ信用金庫や地方銀行に代表される共同利用のバンキングシステムにおいては、業界トップクラスの実績を誇っています。
「当社には、これまで長年にわたって様々なバンキングシステムを支えてきた実績とノウハウ、それに高度な技術力が蓄積されています。お客様のメリットを最大化するために、この総合力をフルに発揮し、付加価値の高い提案を行なっています」
こう話すのは、株式会社NTTデータ 金融システム事業本部 信用金庫ビジネスユニット 信用金庫担当 部長 柴崎 正人氏です。
システム構築の手法も、従来は顧客の要望を聞いてから開発に着手するスタイルが一般的でした。しかしIT抜きには成り立たない現在の金融ビジネスにおいては、SIer側からの提案が非常に重要な意味を持ちます。柴崎氏は「お客様からも『我々のパートナーとして、共に新たな金融サービスの創出や業務プロセスの改善を進めていこう』とのお言葉を頂いています。我々としても、このご期待にしっかりと応えていきたい」と力強く語ります。
同社では持ち前の高度な技術力に加えて、コンサルティングから構築、運用までトータルにサポートできる充実した体制を用意。また人材育成や最新テクノロジーのキャッチアップなど、将来を見据えた取り組みも行なっています。同社が数多くの顧客企業の信頼を獲得しているのも、このような総合力の高さによるものと言えるでしょう。
こうした強みを有する同社が構築した事例のひとつに、全国の信用金庫に対して提供されている共同センター方式のバンキングシステム「信用金庫共同システム」があります。
かつての金融システムは、それぞれの金融機関が独自に構築・運用を行なう形態が一般的でした。しかしサービスの多様化が進む中、各金融機関が個別にシステム対応を行なうことが困難になっています。またバックアップセンターなどについても、各金融機関が自前で構築するのでは負担が重すぎます。
しかしこの共同システムを利用すれば、各信用金庫は多くの人的リソースやコストを投入することなく、最新の業務環境を利用できます。その結果TCO削減やスピーディーな新サービス展開が実現できるのです。
さらに同社では、2004年3月に営業店の業務を支える「新営業店基幹システム」を本格稼働させました。
柴崎氏はこの背景について「信用金庫業界においては、業務機能をいかに強化していくかが大きな課題となっていました。当社でも融資機能の強化やリスク管理機能の高度化など様々な提案をお客様の協力を得ながら行なってきましたが、その内容は2003年に金融庁が発表した『リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム』(注2)への対応事項とも非常に近いものでした。こうした点がお客様からも高く評価され、その目玉の1つとして営業店基幹システムの本格的な再構築に着手したのです」と説明します。
新営業店基幹システムに課せられた要件は、金融商品/サービスや業務フローの変化に対しても柔軟に対応できること。もちろん、金融システムに不可欠な高性能・高信頼、高可用性の確保もポイントとなりました。
このような観点を踏まえ、同社ではシステムのプラットフォームに何を採用すべきか慎重に検討を重ねた結果、Linuxの導入を決断。富士通をパートナーに選定し、新営業店基幹システムの開発に着手しました。

株式会社NTTデータ 金融ビジネス事業本部 チャネルビジネスユニット 第一開発担当 部長 渡辺 晃氏は「ソースコードが公開されているLinuxなら、障害時の対応も迅速かつ確実に行なえますし、弱点と思われる部分があれば強化することもできます。また、金融システムには不要なサービスを省くことでシステムをスリム化できる、カーネル(注3)そのものの改良やチューニングまで自分たちで行なえるといった点も魅力的でした。さらに、既存資産と新しい技術をシームレスに連携させることも比較的容易なため、将来的に新サービスを展開する際に、少ない投資で対応できる点も大きなメリットと感じました」と語ります。
「新営業店基幹システムでは、営業店と信用金庫本部、それに共同センターを結ぶネットワークがすべてIP化されています。通信処理を行なうコミュニケーションサーバには、IAサーバ「PRIMERGY(プライマジー)」および「Red Hat Enterprise Linux」を採用。こうしたオープン技術の採用により、従来専用ハードウェア、専用OSを利用していたのに比べ、低コスト化を実現しました。あわせて、富士通のクラスタソフトウェア「PRIMECLUSTER(プライムクラスタ)」を用いてクラスタ構成とし、電源やネットワークの冗長化も施すことで、更なる信頼性向上も実現可能となりました。
また「Interstage Application Server(インターステージ アプリケーション サーバ)」、「Systemwalker(システムウォーカー)」などの富士通ミドルウェア群も採用。金融サービスの多様化に即応できる高度な柔軟性を実現すると同時に、OSやアプリケーションの独自開発により、どうしてもコスト高になりがちだった営業店システムの低コスト化も実現しました。
渡辺氏は新システムについて「従来のシステムの1.5倍を超える性能を確保し、目標値である1時間あたり3万トランザクションも十分にクリア。また主ノードに障害が発生した際のフェイルオーバー時間を、以前の約5分から1分以内へと大幅短縮するなど、信頼性・可用性についても飛躍的な進歩を遂げています」と力強く語ります。
実は同社では、4年以上も前からLinuxの有効性に着目し、ミッションクリティカルなシステムへの適用を目指してきました。その取り組みが今回の成功につながったのです。
| 「新営業店基幹システム」システム構成(導入時) | |
|---|---|
サーバ |
PRIMERGY F250 |
OS |
Red Hat Enterprise Linux |
ミドルウェア |
Interstage、 Systemwalker、PRIMECLUSTER |
ストレージシステム |
ETERNUS3000 |

新営業店基幹システムが稼働したことで、各信用金庫には様々なメリットがもたらされることになりました。
株式会社NTTデータ 金融ビジネス事業本部 チャネルビジネスユニット ビジネス企画担当 課長 山崎 隆氏は「通信の信頼性が従来にも増して大幅に向上。またネットワークをIP化したため、基幹系・情報系・音声などのネットワークを統合することが可能になりました。コスト削減効果も大きく、初期導入コストは従来の1 / 2程度にまで下がっています」と語ります。
またLinuxをプラットフォームに採用したことで、既存のアプリケーション資産を活かしつつ、周辺システムとの連携を行なうこともできるようになりました。たとえば窓口でお客様対応を行なう場合、従来は営業店端末でホストとの通信処理を行なうだけでした。しかし今後はCRMシステムに蓄積された顧客情報を表示させ、お客様一人ひとりに最適な金融サービスをご提案することも可能になります。このようにタイムリーなビジネス展開を推進していく上でも、新システムは大きな効果を発揮しているのです。
富士通のサービス・サポートに対しても、高い評価が寄せられています。「今回のシステムは最初からLinux+IAサーバで行きたいと考えていましたが、要件を満たしていたベンダーは、我々同様早くからLinuxに取り組んでいた富士通以外にありませんでした。金融システムはライフサイクルが長く、一度導入したら5年6年と使い続けるのが普通です。ところがあるベンダーではIAサーバの保守メニューは3年目まで、4年目以降は買い換えだと言う。これではいくら値段が安くとも、システムに採用することはできません。その点富士通は長期間にわたるサポートを提供してくれた上、障害時の対応なども非常にしっかりしていました。社会的にも重要な役割を担っている金融システムを、Linux+IAサーバで構築したいと考えたときに、こうした体制が用意されているということは大きな安心材料となります」と渡辺氏は語ります。
また山崎氏も、「実際に開発を進めていく中では、予期せぬトラブルも数多く発生しました。Linuxの公式ドキュメントに沿って開発しているはずなのに、想定外の関数の戻り値が大量に戻ってくる、その結果例外エラーでシステムがダウンするといったことが頻発したのです。そこで、ドキュメントに出ていないものについても、富士通と共同ですべて解析・対応しました。このことがシステムの品質や安定性向上に大きく寄与しています。またシステムを移行する際にはとかくトラブルがつきものですが、このような取り組みを行なった結果、今回のシステムについては全くと言っていいくらい障害がありませんでした。Linux+IAサーバによる基幹システム開発をこれまでバックアップしてくれた富士通には、大いに感謝しています」と満足げに語ります。
今回構築した新営業店基幹システムは、2004年3月に先行導入したお客様を皮切りに、今後も2~3年かけて全加盟金庫258金庫(7月末現在)に導入する予定です。
今後の展開について、柴崎氏は「単に旧システムの機能を継承するだけでなく、これからの金融ビジネスを支える新たな機能を追加していけるのが、新営業店基幹システムの大きな強み。次のステップでは、このメリットを最大限に引き出せるような提案を行なっていきたいですね。Interstage Application ServerによるWebシステム化や、戦略的なビジネスを可能にする新たな業務プロセスの構築など、様々なソリューションを生み出せる可能性があります」と語ります。
パートナーである富士通にも、高い期待が寄せられています。渡辺氏は「新たなチャレンジを行なう際には、パートナーの選定が非常に重要な意味を持ちます。そういう意味では、富士通をパートナーに選んで正解でしたね。最後まで粘り強くサポートしてくれたことで、最適なソリューションが実現できました。今回蓄積したノウハウは社内だけでなくLinuxコミュニティーにも還元していきたい。また富士通とのアライアンスを今後も活かしながら、他のソリューション分野への横展開も図っていきたいと思います」と話しました。
| 所在地 | 東京都江東区豊洲3‐3‐3豊洲センタービル |
|---|---|
| 代表取締役社長 | 浜口 友一 |
| 資本金 | 1,425億2,000万円 |
| 年商 | 8,467億円(2003年度実績) |
| 社員数 | 7,232名(2004年3月31日現在:単独) |
| 概要 | 金融機関、官庁・地方公共団体、一般企業など幅広い分野に対して先進的なITソリューションを提供。特に大型システムや共同センターシステムに豊富な実績を保有している。 |
(注1)可用性(availability)
コンピュータシステムが「利用出来る状態」になっている度合い。障害などでシステムが停止した場合に正常に回復するまでの時間で評価する。高可用性(可用性の高い)システムとは、停止時間が短いシステムを表し、一般的に金融など基幹システムでは1年間で5分以内が目標とされている。
(注2)リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム
金融機関が中小企業の再生と地域経済の活性化を図るための各種の取り組みを進めることによって、不良債権問題も同時に解決していくことが狙い。2005年3月末までを地域金融機関における「集中改善期間」と位置づけ、本プログラムに盛り込まれた措置を着実に実施することが求められている。
(注3)カーネル(Kernel)
LinuxやWindowsなどコンピュータを動かすOS(オペレーションソフトウェア)の基本機能を実装したソフトウェア。OSの中核として、アプリケーションソフトや周辺機器の監視、ディスクやメモリなどの資源の管理や割りこみ処理、プロセス間の通信など、OSとしての基本機能を提供する心臓部。
[取材日:2004年7月8日]
日経コンピュータ[2004年9月6日号] 掲載記事
PDF信用金庫の業務革新をバックアップする新営業店基幹システムをLinuxで構築(PDF:354KB、1ページ)
富士通株式会社
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